昭和初期の
炭鉱住宅再現!







炭鉱住宅(炭住)模型作製

 宮若市石炭記念館の岡本宏志さんは、石炭増産期で活気あふれた昭和初期の炭鉱住宅を精巧なミニチュアでよみがえらせています。炭鉱住宅に息づかせていた人のぬくもりを小さな模型の中に宿らせ、失われつつある今に伝えようとしています。
 岡本さんが平成14年の9月から作っているのは、町内にあった貝島炭礦6坑4区の住宅です。通称「八軒長屋」と呼ばれていた長屋二棟を30分の1の大きさ(高さ16p、幅23p、長さ1.5m)で再現しました。これを宮若市石炭記念館に展示しています。
 町誌に掲載された図面を基に、まず設計図を作製し、「現物に忠実であること」に心がけ、写真や文献だけでなく、ここで生活していた花田義和さんからも聞き取りをしました。材料には空き箱やビールの空き缶、廃材を使用。屋根が外せるようになっており、手先の器用さを生かして室内の様子も細かに作りました。
 これほどまでに岡本さんがこどわるのは、模型を通じて炭鉱住宅での人の支え合いや、つながりを表現したかったとのことです。
 今もその炭鉱社宅で育った生活を鮮明に思い出すそうです。住民総出のもちづくり、花見、祝い事も弔事も家族のように心を開き、住民たちのきずなは深かったのです。岡本さんも悪いことをしたときには、近所の大人に良くしかられたそうです。「子どもを地域ぐるみで育てる意識が強かった」と話しています。
 
 模型に配置した人形は紙粘土で作られたとか。一つ一つが生き生きとしています。
 右写真の手前は、自転車でやって来た「紙芝居」を子どもたちが見ています。その右手には、鶏がひよこを連れて歩いています。
 その向こうには、写真屋さんが一家族の記念写真を撮っています。さらに奥には、コマ回したり、花火をしたり、縄跳びを競ったりしている子どもたち・・・。
 そして大人たちは、その元気に遊ぶ子どもたちを見守っているのです。


 
平成15年8月19日付読売新聞朝刊より

写真:炭鉱住宅をリアルに再現した岡本さん(右)と花田さん
 本ページの一部の文面は、平成15年8月19日付読売新聞朝刊より構成しています。
 右上写真の八軒長屋の二棟を、地面近くまで下りてみました。
 はて手前は何をしているのでしょうか?そうです、町内会が桜花見をして、宴たけなわの様子です。
 貝島炭鉱記念写真集から、左の模型の時代よりは新しい昭和20年代と思われるほぼ同じ八軒長屋のスナップを見つけました。白いものは、洗濯物です。物干し竿がよく分かりますね。



 この模型の屋根を全てすっぽりはずして中を覗くことができます。
 ふすま、押入、台所、飯台(はんだい)、勉強机。たしかに勉強机で子どもが勉強していますよ。 
 小物の配置なども当時のとおり。共同便所の手洗いタンクや七輪の上に置くヤカンは、直径1pにも満たないです。
 左には、八軒長屋の共同便所があります(便所は長屋に一箇所だけだったのです)。おっ、男の子が小水してますね。
平成15年8月19日付読売新聞朝刊より


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